2017年03月03日

最期の一撃

ひな祭りに言寄せ、おにんぎょうの思い出を。
マーガレットちゃんは身長80センチくらいの、ビニール製の人形で、波打つ金髪の髪、寝かせると閉じるが起こすとぱっちりと開く蒼い瞳、フリルのついた綺麗な服。
おなかに電池で動くおしゃべり機能があって

私マーガレットちゃんよ。お友達になってね♪
ボーイフレンドはたくさんいるの♪
おはなしいっぱいしましょうね♪

と大変な芸達者でもありました。

なのでうちに遊びに来る女の友達は例外なくマーガレットちゃんを見て狂喜乱舞し、必ずマーガレットちゃんで遊ぶはめになるのですが


実は人形嫌いの私には



ただただ気味の悪い存在でした(΄◞ิ౪◟ิ‵ )

こちらが内心嫌っていると相手もこちらを怨んでいるように見えるもの。

気味悪さにとうとう耐えきれなくなった私は、包装紙で厳重に封をして、ガムテープでぐるぐるまきにし、おばあちゃんの法事で聞きかじった般若心経を唱えながら葬式ごっこをして押し入れの隅に葬りました。アーメン

さて、裁判所にもおもちゃやお人形がたくさんあるお部屋があります。
家庭裁判所の児童室というところです。
9歳くらいまでなら目を輝かせるような大きな積み木、おにんぎょう、
そういったものが一応、あります。男の子が喜ぶようなボードゲームもあります。

調査官との面談時にそこで待っていたりするのですが、
お人形は埃だらけ。ボードゲームはパーツの何かが欠けていて、ドールハウスは空き屋
だったりするので、暫くすると子供達は飽きてきます。大体40分くらい。

でも、折り紙と色鉛筆とお絵かき帳を持っていきますと、お絵かきでさらに1時間は引き延ばせます。
プリキュアはちょっと無理だけど、トーマスとアンパンマンとキティちゃんと妖怪ウォッチの何匹かとベジータと悟空とキン肉マンは書けます。さらに1時間

調査官に、心から「早く迎えに来て〜(΄◞ิ౪◟ิ‵ )」と祈りながら・・・・

小学校2年生くらいなら、自分が何の話をしにきたのかよくわかっています。しらない人に、おとうさんとおかあさんの事を聞かれます。どう答えようか一生懸命考えているので、緊張しています。
でも、おもちゃを見ると子供に戻っていきます。

子煩悩な父親が親権を真剣に主張しているケースももちろんありますが、実は子供の親権に異様にこだわるのは、所謂モラハラ夫によく見られる特徴でもあります。
幼い子供については母性優先主義ですから、実務上、父に親権が認められるのは非常に難しいです。
調査官の調査をすれば子供達が自分についてくると言ってくれると信じ込んでいるお父さんもいます。
ただ、こういう場合、子供は実は非常によく見ています。母の悪口を言い、母に暴言をはく父の姿を。

それを知らない人に語らせることに本当は心痛む思いです。


マーガレットちゃんを葬ってから数年経ち、学生になった私は実家の押し入れの整理をしていました。
すると。がたん、と音がして
上からぼろぼろになって、包装紙が破れた紙の箱が垂直に私の頭めがけて落ちてきました。
箱の上の部分は透明のフィルムなので、中はしっかり見えます。

パチっと目を見開いた髪ボサボサのマーガレットちゃんが仁王立ちし、
こちらを向いて、最期の電池を振り絞り、地獄の底から振り絞ったかのような低いだみ声でいいました。

輪わ・・・坨た・・・死し・・・・魔ま・・・ ぶちっ


  ༼;´༎ຶ ۝ ༎ຶ ༽


私の人生で弐番目に恐ろしかった出来事です
平成29年3月3日 弁護士 菊谷 淳子
posted by KEYAKI at 00:17| 民事事件